ダイバーシティ・マネジメントを成功させるには

企業におけるダイバーシティを正しく理解する

「ダイバーシティ」という単語が日本において聞かれるようになったのはここ10年くらいのことですが、もともとは米国で1960年代頃から盛んに使用されるようになった言葉です。

ざっくりとした意味は、多様な文化や背景を持った人を組織が受け入れることで組織としてのパフォーマンスを高めていくということです。

ほぼ単一民族である日本と異なり欧米諸国には一国の中に数多くの人種がおり、信仰する宗教も価値観も大きく異なっています。

そこで会社という組織を運営していくときに自分たちと異質なものを排除しようとするのではなく、逆に個人個人が他人との違いを意識し認め合うことによってお互いのよいところを引き出そうというのがダイバーシティの基本的な考え方となります。

日本においてダイバーシティ・マネジメントの重要性がクローズアップされるようになったのは、主に女性の社会進出を意識してのことです。

日本は先進諸外国の中でも特に女性の社会進出が遅れているという特徴があり、同じ年代で同じような経歴を持った男性のみで企業運営がされているということが、人材不足や発展を遅らせているのではないかという指摘がありました。

しかしダイバーシティという概念を誤解したまま企業運営で実施しようとする例も多く、ただ単純に女性優遇措置をとって無条件に昇格をさせたり、産休や育休を取得しようとする女性が復帰しやすいように、業務を無理やり残った人員に割り振ったりといったこともされています。

そうした間違ったダイバーシティ・マネジメントはかえって社内に分断や軋轢を産みやすく、ギスギスとした空気を作る結果になってしまいます。

根本的な発想の転換が必要

ダイバーシティ・マネジメントを成功させるには、特定の属性の人だけを優遇するのではなく、全員にとって平等感のある会社運営をしていくことが大切です。

一律に女性の管理職枠を作るのではなく、例えば管理職となるための基準を明確化させたり、査定を労働時間ではなく成果によって行ったりといった構造全体の改革が必要となります。

日本においてダイバーシティ・マネジメントが進まない理由は、そもそもの構造や組織を従来のままにしておいて、そこに従来までの権力者と異なる属性の人を無理に押し込めようとするからです。

よく「せっかく女性役員を登用したのに思うようには働いてくれない」「外国人を受け入れたのに全く組織になじまない」といった愚痴が経営者から聞かれますが、それはただ組織に入れたというだけで、本当の意味で受け入れをしていないということを自ら告白しているようなものです。

適切に広い視点でダイバーシティ・マネジメントをしている企業も増えてきていますから、成否によって今後の差は大きく広がっていくことでしょう。